こんにちは。
Renogieの小林奈保子です。
今回は、子ども部屋という議論の3回目です。
子ども部屋という議論①→https://renogie.com/blog/158/
子ども部屋という議論②→https://renogie.com/blog/162/
今回も、北浦かほる著、住まいの絵本にみる子ども部屋を参考に少しまとめてみましたので、
少し一緒に考えてみましょう。
北浦によると、欧米と日本では、子ども部屋に対する考え方や実態が大きく異なっているとのことです。
前回、欧米の考え方が、非常に参考となりました。
今回は、日本編です。
前回述べたように、欧米の子供たちは、子ども部屋をツールとして、
成長とともに段階的に自分に居心地の良い状況をつくることを日常的に学んでいっていましたが、
日本の子どもの場合、子ども部屋は、母親の世話型管理が一般的となっているようです。
(北浦によると、高校1年生になっても約1/4の子どもしか、
子ども部屋を掃除できていないというデータが存在しているようです)
北浦は、子どもの自律や自我の確立の過程で、大きな役割を果たしているのが、
子ども部屋のような空間を自分の意思によってコントロールするという経験であると述べています。
(自律とは、自立と異なり、誰にも邪魔されずに、自分自身の決定をする能力のことであり、
自我の確立とは、他者との関わり合いにおいて、自分を守り、他者を認めることができるようになること、
としています)
「扉の開閉の可否」、「人やモノの進入のコントロール」、「寝室の掃除」、「寝具の整理」、「衣類の整理収納」、「家具の配置や部屋の模様替え」、「壁に貼るものの決定」など、
子どもによる部屋の管理を少しずつ子どもに教え、親子間のルールを決め、
子どもに責任を持たせて任せていくことが、
子どもの精神面の成長を促すきっかけとなる、と述べています。
子どもの自律や自我の確立の過程は、子どもが自己主張と協調性を獲得する道のりであると、
北浦は述べています。
「子ども部屋のような空間を自分の意思によってコントロールするという経験」をもって、
子どもたちは、他人との関係を保ちながらも自分を守る力を養っていきます。
「自分自身の決定をする能力」、
「他者との関わり合いにおいて、自分を守り、他者を認めることができるようになること」、
進路選択の際になっても夢や目標が思い浮かばない、いじめ、先生や友達とのトラブル…など、
様々な問題を抱える現代の子どもたちにとって必要な能力は、
子ども部屋で培うことができるようです。
日本では、子ども部屋は単なる勉強部屋である、という意識が根強く残っているようです。
私も、小学校入学とともに勉強机を買ってもらい、
その机のある部屋を、子ども部屋とした記憶があります。
子どもにとって重要な成長の機会を与えてくれる、子ども部屋。
机があるから子ども部屋とする、という考えは、少々もったいない、
子ども部屋ってとっても大事だと思いました。
次回は、最終回です。
参考にした本:北浦かほる『住まいの絵本にみる子ども部屋–自律をうながす空間の使い方–』井上書院、2014年